◇不動産コラム◇ 成年後見制度で不動産は売れる?手続きの流れと注意点を静かにまとめました
初回更新日:2026年4月9日
高齢の親御さんの判断力が弱ってきたり、認知症の診断を受けたりすると、
「この家はどうしたらいいんだろう」
「名義人が判断できない状態で売却はできるの?」
と、不動産の扱いが急に難しくなります。
家族の気持ちも揺れやすく、誰かを責める話でもありません。
そんなときに“現実を整える仕組み”として使われるのが 成年後見制度 です。
成年後見制度とは
成年後見制度は、判断能力が不十分になった人を法律的に支える仕組みです。
家庭裁判所が後見人を選び、財産管理や契約行為を代わりに行います。
- 法務省:
成年後見制度は「判断能力が不十分な方を法律面・生活面で保護・支援する制度」
(出典:法務省「成年後見制度」)
- 厚生労働省:
成年後見制度は「本人の権利を守り、生活を支えるための制度」
(出典:厚生労働省「成年後見制度の利用促進」)
制度の目的は“財産を守ること”であり、不動産の売却もその一部として扱われます。
成年後見制度と不動産売却の関係
① 名義人が判断できない状態では、売却契約は無効になる可能性
不動産の売買契約は「意思能力」が前提です。
認知症が進んで判断が難しい状態で契約すると、後からトラブルになることがあります。
② 後見人が選ばれると、売却の手続きが可能になる
家庭裁判所が選任した後見人が、
・財産管理
・契約行為
・不動産の売却
を代わりに行えます。
ただし、後見人が勝手に売れるわけではありません。
③ 不動産売却には「家庭裁判所の許可」が必要
後見人が不動産を売却する場合、家庭裁判所の許可 が必須です。
- 最高裁判所(裁判所):
「後見人が本人の不動産を処分するには、家庭裁判所の許可が必要」
(出典:裁判所「成年後見制度」)
これは、本人の財産を守るための重要なチェックです。
成年後見制度を使うときの“現実的な流れ”
萬屋モードで、できるだけ静かに整理します。
1.医師の診断書を準備
判断能力の状態を確認するため、家庭裁判所に提出します。
2.家庭裁判所へ申立て
申立人は、家族・親族・市町村長など。
3.後見人の選任
親族が選ばれることもあれば、専門職(司法書士・弁護士)が選ばれることもあります。
4.不動産売却の必要性を説明
「売らないと生活費が足りない」「施設入居のため」など、合理的な理由が必要。
5.家庭裁判所の許可を得る
許可が出て初めて売却活動が可能になります。
6.売却手続きへ
ここで初めて不動産会社の出番です。
成年後見制度を使うときの“よくあるつまずき”
● 家族の意見がまとまらない
後見制度は“本人の利益”が最優先。
家族の意見が割れていても、裁判所は本人の生活に必要かどうかで判断します。
● 申立てに時間がかかる
申立てから後見人選任まで、1〜3か月ほどかかることがあります。
急ぎの売却には向きません。
● 後見人が専門職になることもある
「家族が後見人になる」とは限りません。
家庭裁判所が中立性を重視して専門職を選ぶこともあります。
成年後見制度を使うべきか迷うとき
制度を使うかどうかは、
・本人の生活
・財産の状況
・家族の負担
・将来の見通し
を総合的に見て判断する必要があります。
「制度を使うべき/使わないべき」と断定するのではなく、
“選択肢のひとつとして知っておく”という姿勢がちょうどいいと感じます。
不動産会社としてできること
不動産会社は法律判断はできませんが、
- 売却の流れの整理
- 必要な専門家(司法書士・弁護士)の紹介
- 家族間の情報整理
- 物件の評価
といった“現実的な部分”を整える役割があります。
まとめ
成年後見制度は、
「家族の事情が複雑なとき」「本人の判断が難しいとき」に、
不動産を安全に扱うための仕組みです。
制度を使うかどうかは家庭ごとに違います。
ただ、知っているだけで“選択肢が増える”のは確かです。
不動産の売却や管理で迷ったときは、
制度のことも含めて、静かに状況を整理するところから始めてみてください。
出典(すべて公的機関)
- 法務省「成年後見制度」
- 厚生労働省「成年後見制度の利用促進」
- 裁判所(最高裁判所)「成年後見制度」



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