離婚で不動産を売却する際の注意事項~その1~
離婚が原因で不動産売却をする場合、通常の不動産売却とは異なる注意点があります。
ただでさえ離婚前後となると慌ただしくなりやすいものですが、何も知らないまま不動産売却を進めては、トラブルにつながる恐れがあります。
そこで今回は、離婚に伴う不動産売却の注意点を解説する他、不動産の売却方法についても解説します。
離婚により不動産を売却する際のポイント
・不動産が「共有財産」か「特有財産」か
・不動産の名義
・離婚後はなるべく早く売却する
・離婚が売却理由でも不動産の価値に影響はない
●不動産は「共有財産」と「特有財産」に分類されます。
夫婦の場合、持ち家を含む不動産は「共有財産」と「特有財産」のどちらかに分類されます。
この内、離婚時に財産分与の対象となるのは共有財産のため、どちらに分類されるかを事前に確認しておきましょう。
共有財産とは、夫婦2人で婚姻期間に築いた財産のことです。夫婦2人が折半して購入した不動産は共有財産となります。また、配偶者の一方が専業主婦(主夫)で実質お金は支払っていなかったとしても、その支えにより財産を築けたとみなされることから、この場合にも共有財産の扱いとなることを覚えておきましょう。
これに対し、結婚前に個人が築いた財産は特有財産となります。例えば結婚前に購入した不動産などは、特有財産となります。
●不動産の名義確認が重要
不動産の登記簿に記載される所有者名義は、「単独名義」の場合と「共有名義」の場合があります。単独名義は夫婦どちらかの名義、共有名義は夫婦2人の名義であることが一般的です。
不動産売却の際には、登記名義人全員の許可を要します。離婚によるケースでは、どちらか一方が売却に反対することもあるかもしれません。そのような場合は対策をとる必要があります。
また、不動産の売買契約を締結した場合、契約や引き渡しに名義人が立ち会う必要のあるケースもあるでしょう。不動産売却をスムーズに進めるためにも、不動産の登記名義は事前に確認しておきたいところです。
●離婚後はなるべく早く売却する
離婚成立から2年が経つと、財産分与の請求権が失効してしまいます。離婚後に不動産売却を進める際には、なるべく早い段階で売却活動を進めましょう。
特に不動産の名義が相手にある場合には、離婚後に名義人と連絡が取れなくなり、財産分与請求権の失効を迎えるケースも考えられます。そのような心配がある相手の場合はなるべく離婚前に売却し、離婚協議において売却額の分与の詳細を取り決めておくとよいでしょう。
また、離婚協議で取り決めた内容をまとめる離婚協議書は公正証書化することをおすすめします。
●離婚が売却理由でも不動産価格への影響は限定的
離婚を理由とした不動産売却の場合、「縁起が悪い」などと購入希望者に思われる可能性から、売却額に影響することを懸念される方もいるでしょう。
全く影響しないとは言えませんが、売却理由を気にしない購入希望者もいるので、それほど心配する必要はないことを覚えておきましょう。
離婚時に不動産売却をおすすめする理由
●財産分与がしやすい
●財産分与が容易になることで、財産分与の話し合いをする際に揉め辛くなり、話し合い期間の短縮も可能。離婚において話し合いの負担を減らせることはメリットといえるでしょう。
●保証人の関係を断ち切れる
住宅ローンの保証人や共有名義に相手の名前が残り続ける場合、不動産を所持しているうちは関係を完全に断ち切ることは困難です。不動産を譲ってもらうにしろ、買い取るにしろ、ローンが残っている場合にはその点に留意する必要があります。
離婚の理由によっては、離婚後は相手と一切関わりたくないという方もいるでしょう。その場合には、不動産売却によりローン関係の縁も断ち切ってしまう方法が有効です。
●住宅ローンの名義変更は難しい
そのため、住宅ローンが残っている場合、不動産売却し財産分与したほうがトラブルを回避しやすいでしょう。