◇不動産相続コラム◇遺言のデジタル化が閣議決定|パソコン作成を認める民法改正案と今後のポイント」
初回更新日:2026年4月5日
パソコンで作る遺言が認められる方向に
――制度が少し変わるだけで、向き合いやすさは変わるものです――
2026年4月3日、政府は遺言制度を見直す民法改正案を閣議決定しました。
これまで自筆証書遺言は「全文手書き・押印」が必須でしたが、
今回の改正案では パソコンやスマートフォンで作成した遺言を認める 方向が示されています。
● パソコン・スマホで作成した遺言が認められる新方式
これまで自筆証書遺言は、全文を手書きし、押印する必要がありました。
高齢の方にとっては、長文を書くこと自体が負担で、「書きたいけれど書けない」
という状況も少なくありませんでした。
今回の改正案では、
パソコンやスマートフォンで作成した遺言を認める新しい方式が導入されます。
● 本人確認は「読み上げ」で。安心のためのひと手間
デジタルで作成した遺言は、法務局の職員の前で全文を読み上げて確認する必要があります。
対面が原則ですが、状況に応じてウェブ会議での確認も可能になります。
● 押印の負担がなくなる方向へ
これまで必須だった押印も、今回の改正案では不要となる見込みです。
形式のハードルが下がることで、「気持ちが整ったときに、少しだけ前に進める」
そんな方が増えるかもしれません。
● 施行は「成立後数ヶ月〜1年程度」
この新しい方式が実際に使えるようになるのは、
国会での成立・公布を経て、数ヶ月から1年ほど先と見込まれています。
制度が整うまでには少し時間がありますが、準備を急ぐ必要はありません。
● 名義変更が止まったままの“動かない不動産”が減る
遺言がないまま相続が始まると、
・相続人が決まらない
・話し合いが進まない
・名義変更ができない
という状態が長期化し、売却も活用もできないケースが多くあります。
遺言が増えることで、「誰が相続するか」が明確になり、名義変更がスムーズに進む
ため、動かない不動産が減ります。
● 空き家・管理不全の発生を抑えられる
名義が曖昧なまま放置されると、
・空き家化
・管理不全
・近隣トラブル
につながりやすくなります。
遺言が増えることで、空き家予備軍を減らす効果 が期待できます。
● 所有者不明土地の予防につながる
相続が何代も進むと、相続人が増えすぎて手続きができなくなることがあります。
遺言があると、所有者不明土地の発生を防ぎやすくなる
ため、地域の不動産流通にもプラスです。
● 不動産屋としてできること
不動産業者は遺言の作成を代行することはできませんが、
相続が発生したときに必要となる
・名義変更の流れ
・相続登記の期限
・売却・活用の選択肢
など、実務面でのサポートが可能です。
遺言があるかどうかで、相続後の不動産手続きの難易度が大きく変わる
という点は、現場で強く感じるところです。
■ まとめ
遺言のデジタル化は、
「遺言を書きたいけれど手書きが負担」という方にとって大きな前進です。
そして不動産の現場では、
名義変更の停滞や空き家化を防ぐ効果が期待できます。
制度が動き始めるのはもう少し先ですが、
相続や不動産の整理を考えるきっかけとしては十分です。
■ 出典(一次情報に準ずるもの)
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内閣府:2026年4月3日 閣議案件(民法改正案の提出)
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法務省:遺言制度見直しに関する資料
-
裁判所:遺言に関する民法規定(民法960条〜)
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報道:FNN、読売新聞、coki など複数社が同内容を報道



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