◇不動産相続コラム◇生前に相続放棄はできない|遺留分の放棄との違いをわかりやすく解説【2026年版】
初回更新日:2026年3月8日
相続の相談で特によく聞くのが、
「生きているうちに相続放棄しておきたいんです」
という声です。
気持ちはとてもよく分かります。
家族に迷惑をかけたくない、トラブルを避けたい――
そう思うからこそ出てくる言葉です。
ただ、結論から言うと 生前に相続放棄はできません。
さらに、似た言葉の「遺留分の放棄」と混同されることも多く、
誤解が広がりやすいテーマでもあります。
ここでは、生前に相続放棄ができない理由と、
遺留分の放棄との違いを、できるだけやさしく整理していきます。
■ 生前に相続放棄はできない理由
相続放棄は、民法で「相続が始まってから行う手続き」と定められています。
相続が始まるのは、被相続人(財産を残す人)が亡くなった時点。
そのため、
・まだ生きている
・相続が発生していない
この状態では、相続放棄という制度自体が存在しません。
■ 生前の「相続しません」という約束も効力なし
家族間で話し合って「私は相続しないから」と決めていても、法律上の効力はありません。
理由は、
相続は“亡くなった時点の法律関係”で決まるため、生前の約束では権利を消せない
という制度上の仕組みにあります。
■ 相続放棄ができるタイミング
相続放棄ができるのは、
相続開始(=死亡)を知った日から3か月以内。
この期間を「熟慮期間」と呼び、
- 相続する
- 相続放棄する
- 限定承認にする
の3つから選ぶことができます。
※具体的な手続きは家庭裁判所で行うため、専門家への相談が必要です。
■ よく混同される「遺留分の放棄」とは?
生前にできる“放棄”に関する制度として、遺留分の放棄があります。
ただし、これは相続放棄とはまったく別物です。
● 遺留分とは?
「どんな遺言があっても、最低限これだけはもらえる」
という 法律で守られた取り分 のこと。
● 遺留分の放棄とは?
遺留分の放棄は、“その最低限の取り分を請求しません”という生前の合意
であり、相続そのものを放棄するわけではありません。
遺留分の放棄の特徴
- 生前にできる
- 家庭裁判所の許可が必要
- 相続人であることは変わらない
- 遺言で財産をもらう可能性は残る
※こちらも法律判断が必要な場面では専門家の領域になります。
■ 「相続放棄」と「遺留分の放棄」の違い
◇相続放棄(死亡後のみ)
→ 相続人としての権利をすべて手放す
→ 家庭裁判所での手続き
→ 借金も含めて一切相続しない
→ 生前にはできない
→ 死亡を知ってから3か月以内
◇遺留分の放棄(生前に可能)
→ 最低限の取り分(遺留分)を請求しないという合意
→ 家庭裁判所の許可が必要
→ 相続人であることは変わらない
→ 遺言で財産を受け取ることは可能
→ 生前に行う制度
■ 不動産会社としてお伝えできること
相続放棄や遺留分の放棄は、
法律判断や手続きが必要なため、専門家の領域になります。
ただ、不動産会社としては次のような “状況整理” をお手伝いできます。
・不動産の所在・種類の確認
・固定資産税や管理状況の整理
・市場価格の査定
・売却・活用の選択肢の説明
・相続人同士の話し合いの材料づくり
・不動産は相続の中でも特に複雑になりやすい部分。
まずは現状を整理するだけでも、次の一歩が見えやすくなります。
■ よくある誤解と正しい知識
「生前に相続放棄しておきたい」
→ できない(制度上の一般論)
「相続しないと約束したから大丈夫」
→ 無効(制度上の一般論)
「相続放棄すれば借金も相続しない」
→ 正しいが、死亡後に家庭裁判所での手続きが必要
「遺留分の放棄=相続放棄」
→ 全く別物
■ まとめ
- 相続放棄は生前にはできない制度
- 遺留分の放棄は生前にできるが、相続放棄とは別物
- 生前の話し合いだけでは法的効力はない
- 不動産会社は法律判断ではなく“状況整理”をサポート
- 具体的な判断や手続きは司法書士・弁護士など専門家へ
相続は誤解が多い分野ですが、正しい知識を知っておくだけで不安はぐっと減ります。
落ち着いて順番に整理していけば、必ず判断できます。
🔹出典
- 法務省「相続放棄について」
- 民法915条(熟慮期間に関する規定)
- 民法938条(相続放棄の効力に関する規定)
- 法務省「遺留分制度について」(遺留分の一般的な説明)
※本コラムは、不動産会社としてお伝えできる“制度の一般的な仕組み”をまとめたものであり、
個別の相続判断・手続きは司法書士・弁護士など専門家への相談が必要です。



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