◇不動産コラム◇🏠 配偶者居住権とは?2026年版|要件・メリット・デメリットを公的情報でやさしく解説
初回更新日:2026年3月8日
2020年4月の民法改正で新しく導入された「配偶者居住権」。
これは、亡くなった方(被相続人)が所有していた自宅に、残された配偶者が無償で住み続けられる権利です。
相続の場面では「自宅に住み続けたい配偶者」と「財産を公平に分けたい相続人」の利害がぶつかることがあります。
配偶者居住権は、その調整を目的として作られた制度です
■ 配偶者居住権とは?
配偶者居住権とは、配偶者が、被相続人の所有していた建物に無償で居住し続けられる権利です。
ポイントは、
- 建物の所有権
- 建物に住む権利(配偶者居住権)
を分けて扱う点にあります。
これにより、配偶者は住まいを確保しつつ、預貯金などの生活費も受け取りやすくなりました。
■ 制度ができた背景
高齢化が進み、配偶者が一人で長く暮らすケースが増えています。
従来の相続では、自宅を相続しないと住み続けられず、生活費が不足する問題がありました。
そこで、
- 住まいの確保
- 生活費の確保
の両立を図るために導入されたのが配偶者居住権です。
■ 配偶者居住権が成立する条件
配偶者居住権を取得するには、次の条件が必要です。
- 法律上の配偶者であること
- 相続開始時にその建物に住んでいたこと
- 遺産分割・遺贈・死因贈与・家庭裁判所の審判のいずれかで取得すること
■ 配偶者短期居住権との違い
- 期間
配偶者居住権 → 終身または一定期間
配偶者短期居住権 → 原則6か月
- 登記
配偶者居住権 → 必要
配偶者短期居住権 → 不要
- 取得方法
配偶者居住権 → 遺産分割などで取得
配偶者短期居住権 → 法律上当然に発生
- 性質
配偶者居住権 → 長く住み続けるための権利
配偶者短期居住権 → とりあえず住める権利
■ 配偶者居住権のメリット
① 住まいが確保され、安心して暮らし続けられる
配偶者は自宅に無償で住み続けられるため、相続後の生活が安定します。
② 自宅を相続しなくても、他の財産を多く取得できる
配偶者は「住む権利」だけを取得し、建物の所有権は別の相続人が持つため、
預貯金など生活費をより多く受け取れる可能性があります。
③ 登記すれば、第三者に売却されても住み続けられる
建物の所有者が変わっても、配偶者は引き続き居住できます。
住まいの安定性が高まる点は大きなメリットです。
■ 配偶者居住権のデメリット・注意点
① 配偶者は建物を売却・賃貸できない
配偶者が持つのは 「住む権利」だけ です。
そのため、
- 建物を売却する
- 建物を賃貸に出す
といった行為はできません。
これらの権限は 建物の所有者(多くは子どもなど別の相続人) が持っています。
② 修繕費などの負担でトラブルになる可能性
建物の維持費は、
- 通常の修繕は配偶者の負担
- 大規模修繕は所有者の負担
とされていますが、境界が曖昧でトラブルになることもあります。
③ 将来の住み替えや施設入居がしにくい(制度構造上の制約)
民法では、
- 「その建物に無償で居住する権利」(民法1028条)
- 譲渡できない権利(民法1032条)
と定められています。
つまり、
配偶者居住権は“その家に住むこと”に限定され、売却・賃貸・転用ができません。
そのため、
- 高齢者施設への入居
- 子どもとの同居
- 別の住まいへの住み替え
など「家を離れる選択」をした場合、
権利を資金化したり、別の住まいに活かすことができないという制約が生じます。
結果として、
将来の選択肢が狭くなる可能性がある点は注意が必要です。
■ どんな家庭で活用される?
- 自宅の評価額が高く、他の財産が少ない家庭
- 前妻の子など、相続人間の利害調整が必要なケース
- 配偶者が高齢で住み替えが難しい場合
などで活用されることが多い制度です。
■ 登記は必要?手続きの流れ
配偶者居住権を確実に守るためには、登記が必須です。登記をしないと、第三者に対抗できません。
一般的な流れは次のとおりです。
- 遺産分割協議などで配偶者居住権を取得
- 建物の所有者と配偶者居住権者を登記
- 必要に応じて土地の利用権も調整
司法書士など専門家に相談しながら進めると安心です。
■ 出典(公的機関)
-
法務省「配偶者居住権について」
-
民法1028条〜1036条(配偶者居住権に関する規定)
-
法務省 民法(相続法)改正に関する資料



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